タイトル:時代の風音
著者:堀田善衛 司馬遼太郎 宮崎駿
出版社:朝日文庫
2017年10月、衆院選挙真っ只中。
選挙の時になると読み返したくなる本が、この「時代の風音」だ。(というか、いつでも何度となく読み返すのだが、、、)
なぜだろう・・・?
この本は、ビッグネーム3氏の鼎談である。
宮崎氏が尊敬するお二方をお迎えして、広範囲に話を繰り出していく。
まず面白くないわけがない!
そして、
宮崎氏の冒頭の言葉に、この鼎談への思いが溢れており、それが私には大きな磁力なのだ。
紹介しよう(中略あり)。
「私は子供を相手に商売しているものですから、子供たちの状況というのが気になるわけです。
子供たちに向かって、大人としてこれなら本当だといえるものを作っていかないと、要するにリップサービスで愛だとか友情だとかというのではなくて、本音を語らないと子供たちはまったく受け付けません。
・・・国家としてだけでなくて、民族として、種族としてでも、日本はどうなってしまうのだろうということがひじょうに気がかりなのです。
そのへんも含めて、お二人にお話し願えたら、ほんとうにうれしいのですが。」
3氏の豊富な知識に感嘆するが、それらは決して難しい語りではない。
世界中で得た見聞やエピソードは、“へぇ~!” “ほぅ!”の連続。
はじめて読めば、きっと誰もが “へぇほぅ族”になるだろう(笑)。
世界の歴史や政治はもちろん、ハエとり紙(若者はわかるだろうか?)、味の素、ダルマ(ウイスキー)、ものの怪や魔女も出てくる。
中でも私が一等惹かれるのは “闇” への語りだ。
谷崎潤一郎氏も陰影を礼賛しているが、この3氏も闇(暗部)を愛しいものとする視点があり、私などは大いに“(御意)うんうん族”なのだ。
光、明るい、クリーン、清潔、、、大事なのは最もだが、これだけしか存在しなかったら生物って成り立たないのじゃないか、と思ったりしている。
そして、
(この感じ、子ども達にどのように伝えたらいいかは判然としないな、、、汗)
などと縦横無尽な展開にワクワクしているうちに、鼎談は一気にあとがきをむかえることになる。
ちなみに初版(1992年)のカバーは↓ 宮崎氏の画です。
(タイトルと著者名の赤い部分がどうなの?と思っちゃいます、、、)
文庫とのイメージの違いに驚いたのも懐かしい思い出。
またまたちなみに、カバーが似ているつながりで、こちらも紹介しておこう。
「(半藤一利と宮崎駿の)腰ぬけ愛国談義」
半藤氏は昭和史や戦史の著書多数の作家。
漱石の話題からはじまった対談も実に面白い。
この機に、日本や生き様を考えながら、“へぇほぅ族”になりませんか!
読書人:岡村 亜矢子
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