タイトル:人魚の眠る家
著者:東野 圭吾
出版社:幻冬舎
出版は2年前ですが、最近のニュースに触発されて再び引っ張り出したのがこちらの本一冊。
そして、その記事がこちら↓(11月24日朝日新聞)。
この小説は、脳死を扱った物語ですが、“人の死とは・・?”。
作者である東野圭吾自身が「こんな物語を自分が書いていいのか?今も悩み続けています」と語っているとおり、医療従事者である私も重く悩むテーマです。
それを、東野氏らしい繊細な筆致で描き切っている。
特に、登場人物の心情がきめ細やかに表現されており、胸に迫る場面が連続。
フィクションであることを忘れてしまうような迫力があります。
不慮の事故で脳死状態になった愛娘を、最新の技術で呼吸させ電気刺激で筋肉を動かし成長させる母。
この行為を愚かなことだと非難する親族。
体が成長したとしても、脳の機能が失われているのであればそれは「死」であると断言する医師。
これらの立場や境遇の違う人々の思いと、日本の子どもの臓器移植の現状を絡ませながら物語は進行していきます。
折しも最近のNHKスペシャルでは、各臓器がホルモンを放出して生命維持を行うといった研究報告が。
母の愛やエゴイズムだけではなく、人が生きることと死ぬことについて、深く考えさせる内容になっています。
読書人:山崎 俊枝
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