今回は「半纏(はんてん)」のお話です。
これは今の半纏です。
私たち春日町ではおよそ4〜5年の間隔で半纏を作ります。
これ位の間隔で作らないと子供達が成長して着られなくなってしまう、というのが大きな理由の一つだったりします。
町によっては同じデザインをずっと受け継いでいるところもありますが、私たちは作るたびに新しいデザインにしています。
背中の「春日」の文字は、前回の製作時から書家の佐藤桑碵(ソウセキ)先生にお願いしています。
先生は春日町にとても所縁があり、ご親族も春日町にお住まいです。
また、私たちにとっては桑名高校の大先輩でもあるのですね。
先生からこんな3つの原案をいただきました。
文字と同時に図柄や色、全体のデザインについて、有志が集まり半年以上もかけて練りに練って練り上げていきます。
実は桑碩先生は「書画」の方。 画も素晴らしいのです。
そこで、図柄(背中と袖の部分)もリクエストしお願いすることに。
こちらもいくつかのパターンをいただき、中に「コレだ!!」という作があり、、、
結果、
文字はこちらに。
背中の図柄はこちら。
袖はこちらに決定。
のびやかさ、優雅さ、バランス、佇まい、、、うん、いい!(と思っています)
先生、原案からピタリと押えてくれています。
出足順調です。
中で、先生との検討を一番要したのが、実は「落款」。厳密にはその位置ですね。
私たちとしては、せっかくなので帯で隠れたりしない位置がいいだろうと押したのですが、そこは先生。
「ココです」と。
決まりです。
色や素材についても、染物工場に何度も足を運んで打ち合わせをしたりして。
そんなこんなで結局完成まで1年を費やす作業になっています。
(これについては祭の期間以外でも集まって飲みに行きたいだけ、という話もありますが…(笑))
(こんな感じで何度も、、、少し恐縮して写真は小さめ(笑)。ですが、しっかり検討しているんですよ。)
さて、生地です。
春日町では15年ほど前から「絽(ロ)」を使っています。
半纏の下に扇子を置いてみました。透けているのがわかりますか?
このような薄く透き通った絹織物ですから圧倒的に涼しいんです。
問題は価格です。高い!
でも、この快適さを知ってしまってはもう元には戻れません、「一路一絽」。
今回特にこだわったのは色です。
「見た目にも涼しく(視覚的に少しでも涼んでもらおう)」というテーマを設定し、繊細に色を選定していきました。
グレーでもない。ベージュでもない。絽にぴったりの微妙なニュアンスが欲しい。
探しに探し求めて、「サラリとした砂色」を見つけました。
そして図柄は柔らかなオフ白に。
強い光の中で美しく透かせてくれます。
半纏に合わせる帯も↓こんなふうに何色もシュミレーションします。
一番上に決定。
同時に手ぬぐい(鉢巻用)も検討。
半纏と色を合わせて作りました。
各町の想いがこもった色とりどりの半纏です。
こちらにも是非注目してみて下さいね。
*保存会サイトの「フォトギャラリー」にたくさんの写真があります。こちらも是非。
案内人:春日町副祭事長 堀田大介
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