通常、祭車には二人が乗っており、山形と天幕の操作を行います。
山形の操作とは、電線等障害物をかわすため山形を折りたたむ操作をする事。
天幕の操作とは、大きな交差点や渡祭など要所で天幕を上げて図柄を皆さんに披露する事です。
下の写真は準備中のものですが、こんな感じで二人が乗ります。
祭車の上の二人がいる空間(場)はこのようになっています。写真は上から見下ろしています。
ちょっとわかりにくいので赤く表示してみます。
この場所の面積は、春日町の祭車でおよそ160cm四方、その真ん中を山形の柱が貫いています。
寄ってみるとこんな感じ。
正面から見るとこんな感じ。
道具入れをかねたベンチがあり、操作の合間には座れるようになっています。
手前に山形の黒い柱が見えています。
ここでちょっとその山形のお話を。
先ほども操作でふれましたが、山形は上下二つのパーツから成り、折りたたむ構造になっています。
こんな風に後方に折れ曲がります。
この二つのパーツは、なんとピン一本でつながっているだけなんです。
ズームアップしてみます。太めのピンが横方向にささっていますね。
反対側からも。
シンプルでしょ!単純美ですね。
祭車の彫刻や天幕のような凝ったデザインも美しいですが、こういった削ぎ落とした小さな美も気に入っています。
山形にはもう一つシンプルなところがあります。
(変な言い方ですが)祭車の本体に柱が突き刺さっているだけなんです。引き抜く事もできる。
単純極まりないですが、これで大丈夫なんです。
古くからのナイスな構造です。
さて、話を戻しましょう。祭車の上の空間をご紹介しました。
では、問題です。「この空間にどうやって登るのでしょうか?」
この階段を登る?
いえ、この階段は神様専用。私たちは決して登ったりしません。
他の階段も梯子もないです。
答えは、「祭車の中をよじ登る」です。これまた極めて単純です(笑)。
祭車の中はがらんどうになっており、そこから上に出るんですね。
ベンチの前に床板が外れるところがあります(赤枠のところ)。
床板を外すとこんな感じです。
地面が見えます。
祭車の中、下から見上げるとこんな感じです(赤枠が開口部分)。
太鼓が入る位置から中を見るとこんな感じで、がらんどうなのがよくわかりますね。
真ん中の柱は山形の下の部分。円柱です。
このがらんどうの空間にどうやって入るのかというと、
太鼓の横下あたりから、祭車の下に潜り込んで入ります。
そしてよじ登る。
空洞なんだけど、登り降りに使える足掛かり・手掛かりが結構あって、みな意外と器用に登っています。
が、やはりそこは慎重さも必要で、登り降りのルールがいくつかあります。
●登り降りは、祭車が止まっている時のみ●
(祭事長は祭車を始動させる時は、人が登り降りしていないかチェックします)
●交代の時(だいたい1~2時間位で上がる人を交代させる)、まず上にいる二人から降りる。その後で別の二人が上がる●
などなど。
上部と内側、祭車の裏方(?)ってこんな風になっているんですね。
お祭りの中で “交代” の瞬間に出くわしたら、「あっ、今よじ登ってるんだな」と想像してみて下さい。
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