『(四人連れ) HONらんだむうぉーく♫』-9-「ドクター・デスの遺産」&「護られなかった者たちへ」

中山 七里

「ドクター・デスの遺産」(KADOKAWA)

2017.5.31発売

「護られなかった者たちへ」(NHK出版)

2018.1.23発売


また一人お気に入り作家が増えてしまった、、、(本が増える、、、嬉し悲し?痛し痒し?)

しかも、七里(しちり)さんは爆量産家、もの凄いスピード感で出す出す作家なんですよね。(ぼちぼちにしてくれないかな、、、)


私の選本は割と特徴的で、①気に入った作家さんを ‘しつこく追い回す’ 派(追うと、年代によって扱うテーマが変わってきたりして面白い)、②職業柄、医療や福祉のかほりに吸い寄せられる、③重たい社会問題などを小説で読むのが好き(手ごたえがタマラナイ)、なんです。

はい、今回の作品はばっちりハマっちゃいました。

ということで、2冊続けて読んだ七里作品をご紹介します。


中山七里といえば、デビュー作「さよならドビュッシー」が有名かな。

第8回「このミステリーがすごい」大賞を受賞し、2013年には映画化されています。

 (本物のピアニスト・清塚さんがまだちょっと初々しいですね~)


映画化もの、ミステリーには敏感な(はずの)ミーハー山崎ですが、なぜか食指が動かず 全くノーチェックで過してきました。

七里さんは、「さよならドビュッシー」もそうですが、序盤は音楽モノが多かったんですよね。

音楽の素養があったら楽しめるんだろうなぁ~くらいの遠巻きにしてました。


今回の2冊はバリンバリンの社会派ミステリーです。

まずは、「ドクター・デスの遺産」

「お父さんが知らない医者に殺された」という、子どもの通報に端を発した事件。

医療の苦痛や医療費の金策に悩み、疲れ果てた患者本人や家族から、安楽死を請け負っていた『ドクターデス』と、それを追う刑事・犬養の話です。


ずばりテーマは「安楽死」

日本では認められていない「安楽死」が、本当に悪いことなのか?生きる権利とともに、死ぬ権利を認めるべきではないのか?という大きな問題を波状に問いかけてくる。

医療小説「チームバチスタの栄光」の著者・海堂尊氏も推薦する医療ミステリーです。


作中、安楽死させられた被害者もその家族も、誰も不幸になっていない事件。

むしろ、自らの死を自分でコントロールしたいと願う人々が切切と描かれており、事件を追う犬養の刑事としての矜持をも揺るがしている。


ドクターデスは凶悪な犯罪者なのか?苦しむ人を救う善なのか?

 ‘光の中の闇’を見るのか、‘闇にある光’を見るのか、、、。

読み進めるに、どんどん揺さぶられる作品でした。


次の「護られなかった者たちへ」は、生活保護費受給と連続殺人を絡めた切ないストーリーで、日本の社会福祉制度の現実に切り込んだ、これまた力作。

国の制度に翻弄される人々の怒り、哀しみ、葛藤が苦しくなる程に胸に迫りくる。


正義って何なのだ?被害者は、加害者は、一体何が決めるんだ?

世の不条理を見事にあぶり出した作品です。


2作とも、相反する思想や制度の狭間で苦悩、呻吟する刑事が主人公ですが、ミステリーというより社会派小説の様相が濃厚ですね。

テーマも内容も全く違うのだけど、読後感はとても似ています。 ヘビーで湿度も高い。

でも不快っていうのとは全く違って、読書の楽しみを存分に味わった感じですね。

善と悪ってどういう基準で考えれば良いのかわからなくなる、、、

手ごたえを超えてずっしりと重くのしかかる2作、出会えてよかった。


テーマやストーリーに加え、上手い構成と手練れ感(伏線に無駄が無い!)も実に見事。

他の作品を読みたくなる作家さんでした!

ということで、冒頭の苦悩なわけです。が、苦悩と呼ぶにはあまりにちっぽけ過ぎて笑っちゃいますね(笑)。

さあ、次は何を読もっかな♬

ミーハー山崎 

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