アフリカにょろり旅(講談社文庫)
青山 潤
2009.1.15発売(単行本は2007.2.10)
いやぁーもう文句なしに面白い!!
著者は東京大学海洋研究所「ウナギチーム」の研究者である。
この “にょろり旅” とは、世界でまだ誰も成し遂げていない幻のウナギ「ラビアータ」捕獲に挑んだ研究者の調査旅なのだ。
このチームは、ウナギ研究界で世界的な発見を繰り返し、歴史的偉業を成し遂げたトップ研究者軍団となっていくのであるが、その道のりにあった “サバイバル・ウナギ採集旅” の一つを綴ったのが本書。
そのサバイバーっぷりは
「これが研究者かっ!?!」
と叫ばずにいられないほど過酷ワイルド、且つ、笑っちゃうくらいド貧乏!!!
冒険家じゃないですからね。研究者にとっては、冒険自体には全く意義はなく、「できればこんなことしたくない」わけで、「でもなぜかこうなってしまう、、、苦笑(著者談)」のやつなのだ。
「死ぬぞ!」な生死をかけた道中が、街の様子や気候、現地の人々、その気質や暮らしぶり、言葉、食べ物、交通、トイレ事情なども交えて著者に語られると、爆笑珍道中に!
ムボーを大真面目に次から次へと繰り出してくれちゃうものだから、
「これが研究者かっ!?!(再)」
(驚)→(笑)→(大驚)→(大笑)・・・・・を果てしなくリピることになる。
真のところはものすごく情熱的な研究者のドキュメンタリーなわけで、もちろんそこに
「知的好奇心に突き動かされた人の熱い生き様」
を見、大いなる感嘆・感動がある。
とともに、それを爆笑で見せてくれた著者に「ブラボーブラボーーー!!」の拍手喝采を送りたい。
解説の高野秀行氏(自称「辺境作家」、他称「辺境冒険作家」で世界各地の辺境地に行き、書いている。「謎の独立国家ソマリランド」など執筆。←これも面白い!)も、このアフリカ “にょろり旅” の命知らずっぷりには唖然。
「私が初めてアフリカへ行ったときを数段上回るムチャクチャぶりだ。あまりのアホさと壮絶さに、なんだか憧れの清純派女優を突然ストリップ劇場で目撃したようなショックを受けた。」と書いている(笑)。
「(その)極度の知的好奇心がすなわち「冒険心」だ」 とも。
「研究ってこんなに面白いんだぜ!!」
声にはしていない著者のメッセージが、たくさんの人、殊に青少年少女諸君に届くといいな~。
旅の相棒・渡邊 俊氏の ‘あとがき’ もいい。
(青ちゃんとシュン)ふたり+αの “うなぎバカ” の旅はまだまだ続く。
「うなドン 南の楽園にょろり旅」
「にょろり旅・ザ・ファイナル 新種ウナギ発見へ、ロートル特殊部隊疾走す!」
も是非!
&、「ザ・ファイナル」で旅に同行した奇特な作家・阿井 渉介氏が、うなぎの調査船に乗り込んだ体験を綴った冒険ドキュメント「うなぎ丸の航海」も違う視点で面白い。
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